夜蟻雑記

俳人・赤野四羽の俳句関連雑記。

故・木村リュウジの記憶と作品

手元に、海原32号がある。故・木村リュウジが昨年10月に送ってくれたものだ。 リュウジが海原新人賞を受賞し、新同人に迎えられた記念すべき一冊である。 お礼と、後日感想を送る、という旨のメッセージが彼との最後の通信となっている。 新型コロナ禍にあっ…

勉強会記録「季語のない俳句の成立条件」

2018年度に「現代俳句」に掲載された私の現俳青年部勉強会報告ですが、無季俳句について参考になるかもしれませんので、資料としてこちらにも掲載いたします。 ------------------------------------------------------------------------------------------…

神野紗希 句集『すみれそよぐ』

新年明けましたね。今年もよろしくお願いいたします。 さて、年末年始、神野紗希句集『すみれそよぐ』拝読しました。 一読して思ったのは、これ、かなりコンセプチュアルな句集だな、ということです。 もちろん時系列で境涯を反映した句を並べていくというの…

「無風イデオロギーの片隅に」(豈60号)の公開

昨今の状況を鑑み、2017年11月発行の豈60号に寄稿した「無風イデオロギーの片隅に」をこちらで公開することにしました。 発行人の大井恒行さんにも同意を頂いております。豈60号も売り切れとなっておりますので、なかなか読まれる機会も少ない小文ですが、そ…

角川「俳句」11月号

珍しく、角川俳句に寄稿しております。 「今日の俳人」コーナーにて、「悪酒」七句。 お隣には瀬戸優理子さんも登場されています。 角川にはあまり載らないタイプの作品を発表できたのは意義があるんじゃないかと思います。 よろしければぜひ。

なつはづき 第一句集『ぴったりの箱』

なつはづきさんの第一句集、『ぴったりの箱』を拝読しました。なつはづきさんは第36回現代俳句新人賞受賞、「奎」に参加、「朱夏句会」代表もされています。タイトルの『ぴったりの箱』は集中の「ぴったりの箱が見つかる麦の秋」より。 何かを片付けるのにち…

柏柳明子 第二句集『柔き棘』

柏柳明子さんの第二句集『柔き棘』を拝読しました。 柏柳さんは「炎環」同人、「豆の木」に参加、第30回現代俳句新人賞を受賞。第一句集『揮発』をすでに出版されています。 まずは好きな作品を20句ほど。 無患子を拾ふきらひな子のきれい 湯ざめして根の国…

橋本直 句集 『符籙』

俳人・俳句研究者として活動されておられる橋本直さんの第一句集、『符籙』を拝読しました。 橋本さんは「豈」同人、現代俳句協会会員、「楓」俳句欄選者などを務めておられます。 前半、写生や生活に材をとったスタンダードな手法を用いた佳句から、後半に…

現代俳句協会東海地区青年部主催、第3回JAZZ句会LIVE 御礼

遅くなってしまいましたが、2019年11月2日、名古屋市今池のカフェ『あらたると』におきまして第3回JAZZ句会LIVEが開催されました。 第1回、第2回はこちらです。 第一回名古屋JAZZ句会 - 夜蟻雑記 東海地区現代俳句協会 第二回JAZZ句会LIVE in 名古屋開催! -…

『白鳥句集』 松下カロ

俳人の松下カロさんから『白鳥句集』を頂きました。ありがとうございます! www.kinokuniya.co.jp すべての句に「白鳥」の語を入れた異色の句集です。17字前後の短い空間に「白鳥」を入れつつ、同じような印象を避けて多様な句をつくるのは大変な技巧が必要…

現代俳句『翌檜篇』を読む 2019年4月号、5月号

続いて、現代俳句『翌檜篇』四、五月号を読んでいきます。各人八句作品ですが、一句ずつ抜粋して鑑賞します。全体はぜひ本誌で。 gendaihaiku.gr.jp 四月号 さくらひらく芯にどっかりとあんこ 赤羽根めぐみ 『軸』同人、『南風』会員、第35回現代俳句新人賞…

現代俳句『翌檜篇』を読む 2019年2月号、3月号

今年から、現代俳句協会の機関紙『現代俳句』で青年部が若手の作品に注目する『翌檜(あすなろ)篇』が始まりました。 | 現代俳句協会 俳句作品掲載が始まった二月号から、順次読んでいこうと思います。基本的に一名八句作品ですが、一句ずつ引いていきます…

『羊水の。』 片山蓉句集

furansudo.ocnk.net片山蓉さんの第一句集『羊水の。』を寄贈していただきました! 片山さんは東海の文芸ファンの隠れ家的存在、名古屋市栄の文壇バーDUOを経営されておられる、知る人ぞ知る俳人。 名古屋を訪れた際にはぜひ一度美味しいお酒とお料理を味わい…

悪魔的書店に碧梧桐句集

京都、アスタルテ書房にて入手。 ご主人が亡くなられて閉店されたと聞きましたが、最近再開されたとのこと。 本好きのための隠れ家。

57502

高橋修宏さんの俳誌575第二号を入手いたしました。 ミニマルでスタイリッシュな装丁、充実した執筆陣と論考、俳句に対する思想が一本通っているように思えます。 狐火を使い古して狐です 柿本多映 三・一一以降の海市の赤ん坊 同 骨肉の骨か肉かと蟇哭ける …

『狼』 46号

俳句同人誌『狼』46号を岡村知昭さんよりいただきました。 各同人の連作に加えて、名画に対して句を付けるという興味深い試みもなされています。 探梅は限界集落結ぶ径 村木ノブヒロ 夏の日の国防色を毛嫌いす 舘百合子 雪やまず人々黒く町に染む 中内亮玄 …

『朱夏』 なつはづき

なつはづきさんの小冊子、『朱夏』をいただきました! 洒脱なデザインの表紙に、きらめく紙質の手触りがとても気持ちいいです、 現代俳句新人賞受賞作など各媒体への掲載作品から、コンパクトに「なつ俳句」の魅力が味わえます。 地に刺さる喪服の群れよ油照…

東海地区現代俳句協会 第二回JAZZ句会LIVE in 名古屋開催!

2019年3月30日土曜日、名古屋市今池のカフェ「あらたると」にて、東海地区現代俳句協会青年部企画の第二回JAZZ句会LIVEが開催されました。 当日はいわゆる花曇、カフェのすぐ横の今池公園の桜を眺めながら、華やいだ空気の中で会が始まります。前回は14時開…

記憶における沼とその他の在処 岡田一美句集

Amazon CAPTCHA 著者から寄贈を受けました。御礼申しあげます。 集中より10句。 瓜の馬反故紙に美しき誤字のあり 阿波踊この世の空気天へ押す 椋鳥の天へ地へその粘りかな 雨降る地球に筍飯の炊き上がる あぢさゐや爪切るやうな生き心地 みづうみの芯の動か…

俳句の不思議、楽しさ、面白さーそのレトリック 武馬久仁裕

武馬久仁裕の俳句レトリックに関する評論集。著者から寄贈いただきました、御礼申し上げます。 武馬久仁裕は小川双々子に師事、坪内稔典の『船団』創刊に参加、夏石番矢の『吟遊』創刊に参加など、現代俳句の先鋭的な活動に多く関わってきた俳人です。 ここ…

岡村知昭 句集『然るべく』

岡村知昭-句集『然るべく』 著者から寄贈いただきました、御礼申し上げます。 集中より引きます。 あわゆきと鼻血のひさしぶりである 花冷のついにはずれぬ指輪かな 石棺の蓋どこへやら春暑し 宵闇の揉めることなき断種かな 大男やめたくなりぬ濃紫陽花 八…

現代俳句協会青年部 出張企画東海ゼロ句会 & 第156回勉強会御礼!その②

akanoyotsuba.hatenablog.com続きです。 13時からの句会には23名が集まり、なかなかの重厚な様相に。三重や滋賀、京都、静岡、なんと東京からも参加者がありました。 少々お酒が入っている方々も…まあこれは吟行の醍醐味でもあります。青年部廣島さん、本数…

現代俳句協会青年部 出張企画東海ゼロ句会 & 第156回勉強会御礼!その①

2018年10月13日(土)に現俳協青年部のゼロ句会の東海出張版、東海ゼロ句会 が犬山市にて開催されました! まず午前10時に名鉄犬山駅前に集合。現俳協東海支部青年部長の廣島さんが点呼をとり、吟行ルートを確認して出発となりました。 晴天に恵まれ…

10月13日(土)現代俳句協会青年部 出張企画東海ゼロ句会 in 犬山城下吟行 & 第156回勉強会

やります、10月、東海ゼロ句会!! 吟行、句会に加えて、神野紗希さんと無季俳句の勉強会開きます。 どれか一部だけでもOK。ぜひぜひ! ↓↓↓↓↓↓ 現代俳句協会青年部 出張企画東海ゼロ句会 in 犬山城下吟行 & 第156回勉強会 東京、関西、北海道へと広がりを見せ…

島田牙城散文集『俳句の背骨』

著者の島田牙城さんから寄贈頂きました。 芭蕉、季語、文語、仮名使い、歳時記、虚子、爽波、裕明、と俳句の脳天から爪先まで牙城調で痛快に語りまくる濃厚な一冊。 芭蕉から起こして完市、澄雄、楸邨、子規まで自由自在な講演録が楽しいです。 高野ムツオか…

加藤知子句集『櫨の実の混沌より始む』

著者より寄贈を受けました。ありがとうございます。 加藤知子さんは「連衆」「豈」同人、現代俳句協会会員、九州作家協会会員。 月下美人咲く産道をひろげつつ 春キャベツきれいに耳を削ぎ落す 病室は無季家族写真閉じてあり いづれさざんか人体かくもけなげ…

短歌俳句誌We第6号

俳人の加藤知子さん、歌人の西田和平さんが発行人の短歌俳句誌We第6号を頂きました。ありがとうございます。 短歌、俳句、評論、エッセイ、連句と実にバリエーション豊かな誌面。 巻頭言「私の中の造型俳句論」(江良修)、また加藤知子句集『櫨の実の混沌…

句集『美濃白鳥(みのしろとり)』

藤尾州さんから第二句集『美濃白鳥』を頂きました。 藤尾さんは小川双々子の「地表」同人、双々子死去後は独自に作句を続けているとのことです。 表紙装画は双々子の油彩画作品。 季語を生かしつつも幻想的な景に発想が広がり、かすかに境涯がにじむ味わいが…

怪しい雑貨店

「韻」同人の前野砥水さんの第一句集。著者より寄贈いただきました。 印刷所に回すデータをほとんどご自身で作製なさったとかで、格安で出版できたとのこと。 前野氏のブログはこちら。 タイトルの通り、生活の中の少し奇妙な瞬間、特別な印象をつかんだ句が…

武馬久仁裕句集

読んだもの、頂いた句集などについて順次紹介していこうと思います。 https://www.amazon.co.jp/%E6%AD%A6%E9%A6%AC%E4%B9%85%E4%BB%81%E8%A3%95%E5%8F%A5%E9%9B%86-%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%AD%A6%E9%A6%AC-%E4%B9%85%E…