島田牙城散文集『俳句の背骨』
著者の島田牙城さんから寄贈頂きました。
芭蕉、季語、文語、仮名使い、歳時記、虚子、爽波、裕明、と俳句の脳天から爪先まで牙城調で痛快に語りまくる濃厚な一冊。
芭蕉から起こして完市、澄雄、楸邨、子規まで自由自在な講演録が楽しいです。
高野ムツオから有季雑歌論を引っ張り出す腕力。
二十四節気論はわたしに知識がなく、学術的な意味合いはわかりませんが、気温の絶対値ではなく傾きをみるという発想はなるほど説得力がありました。
松瀬靑々、中西其十といった俳人の魅力。
師として友人としての爽波、裕明の記憶と芸術論。
句も多数。
目を落とすとは死ぬことぞ雪兎 鬼房
地震の闇百足となりて歩むべし ムツオ
柳より白く梅よりみどりなり 靑々
女装して骨こまやかや青嵐 其十
いつしかに蟻の味方となりて居し 爽波
亀鳴くや男は無口なるべしと 裕明
ゆきあひの醤油は白と決めてをり 牙城
などなど、島田牙城さんの美意識が行き届いた選句が味わえます。