『白鳥句集』 松下カロ
俳人の松下カロさんから『白鳥句集』を頂きました。ありがとうございます!
すべての句に「白鳥」の語を入れた異色の句集です。17字前後の短い空間に「白鳥」を入れつつ、同じような印象を避けて多様な句をつくるのは大変な技巧が必要です。
白鳥にさわらむとして覚めにけり
やがて滅ぶ 鳩 人 きりん 大白鳥
白鳥を憎む白鳥ウクライナ
繃帯がほどけ白鳥ゐなくなる
白鳥へあまたの匙の曲りけり
白鳥は白鳥であること知らず
白鳥の腋むらさきの身八つ口
抑止力白鳥の頸折るほどの
パン裂けば俯く使徒も白鳥も
白鳥やこの世の隅に住所録
「白鳥」という言葉のゲシュタルトが失われてあらたな「白鳥」が立ち上がる、不思議な読後感覚が得られます。